自分でルートや時季や宿泊方法などを設定して、それに応じて装備を考え、自分が負うべき装備と責任を背負って、それを履行していく。残雪でコースタイムが伸びれば泊地を変えて、次の日程のために３時に起きて4時には発とうと、柔軟に対処して、全行程を己の足で歩ききる。

テント泊で5泊しようと思えばザックは20kgを超えるし、安定性に振って革の縦走靴を履けば片足は1kg弱。それで幅の狭いトラバースや岩稜を越えたり、苔むした森、ひらけた稜線、ガレ場やザレ場を歩いたりする。

有名な山やテン場なら人とも会うが、ほんの一時。地図に登山道のないピークなんて、すれ違いも追い越しもない。会うのは鹿くらいなもの。

風呂もない、コンビニもない、自販機もない。こんなに己が試される空間は日常生活にはない。ひとりでは文句を言う相手もいない。楽しいかと言われると全行程が楽しい訳でもない。ただ、面白いかと言われたら準備から下山後の温泉まで、全行程が面白いと言える。

今年の目標は長沢背稜から石尾根の馬蹄形2泊3日42km、みずがき山荘から奥多摩駅の奥秩父主脈縦走4泊5日70km、の２つが達成済みなので、次は和名倉山！ただ、これは冬に残しておいて、夏はどこか遠征しようかな。