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同じ段落を何度も読んでしまう



紺野と出会ったのは2年前になる。

紺野は背が高く、背の少し低い僕を見下ろす様に立つ。声は柔らかく声優の様だ(声優に詳しくないから誰に似ているかとかは判らない)少し猫背で足がでかい。こいつは人生の荒波に揉まれて生きてきた奴だ…と初めて会った時に思った。三白眼気味なので余計に底が知れないミステリアスな印象を受けた。


紺野が働いている所を見たことがあるが、実にクール。若いのに自分より年上の部下を抱える彼は柔らかく静かにしかしクールにこなしていた。誰が見たってデキる奴。しにゃしにゃなスーツを着、毎日上司にしこたま叱られている僕はひえええええええとなったのであんまり関わりたくなかった。同じ年でこんなにデキる奴は恐ろしい。しかし飲み会で隣の席になった時、物腰は柔らかく、ひとの話が聞け、絶対に否定はしない。デキスギくんじゃあないか…と、益々恐怖心を募らせる僕。
本を沢山読むと聞いたので、良かったら本を見繕って欲しいと本気で無かったけれどおべっかで言ったら数日後、メールで数冊本の名前が送られてきた。律儀な、奴め…と、仕方なし今まで雑誌を立ち読むくらいしかしなかった書店へ行き、購入した。それから本で繋がる僕たちの関係が始まったのだった。




紺野の手はびちゃびちゃだった


思い立ったから日々を記録することにする。
僕はただ静かに暮らしたいのだ


2年前知り合った紺野と呑んだ

本を沢山読む彼は、ひとつの単語からリンクするモノコトの多さに悔しい。頭の中には膨大な本棚があるのだろう。

僕が本を読みたいから良いものを見繕ってくれと頼んだ事で古書店を周り朝まで呑み別れたが、呑み屋を移動する間僕の手を優しく握りに来、驚き顔を見られずにそのまま歩くと「握り返してはくれないの」と問われた。数秒考え無言で握り返したけれど、あれの他どうすれば良かったのか。そら握るしかなかったよなと何度も肯定しておく。


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