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散紅葉

○散紅葉シェイクスピアも吹かれけり

紅葉

○天上を岩によしみの紅葉かな


銀杏散る

○天に舞ふ銀杏紅葉やわれ寵児
○天に舞ふ寵児のごとき銀杏哉
○黄金をはぐくむ影や銀杏道
○影一歩天に寵児や銀杏散る
○黄金の雨に佇む銀杏かな
○黄金の雨にうたるる銀杏かな
○樹の影を忘れひさしや銀杏散る


初紅葉

○初紅葉忘れたように袋物


紅葉

○釜飯の紅葉や焼けてなかりけり
○ふりつもる煉瓦の穴や紅葉狩り
○レール跡人なかりけり紅葉狩り

紅葉

○紅葉を語らぬ岩や湯殿山
○対幅のとらわれもせず紅葉かな
○一幅を立てて紅葉や都ぶり
○二山の三山や紅葉めぐりける
○ほぼほぼに村が紅葉になり申す
○静かさの中にもみづる熟女かな
○もの狂ふ紅葉やわれをさもあらん
○翼なく紅葉やわれを押上ぐる
○大海に大空を噛む紅葉かな
○自らを離れて歌う紅葉かな
○しずかさに音のみぞするもみじかな


紅葉

◯大枝を空まで伸ばす紅葉かな
◯一面に落ちて水面の紅葉かな
◯大枝に隠れ二人の紅葉かな
○人の影紅葉や芝に落ちにけり
○ながれゆく宇治いま少し谷紅葉
○橋姫や瀬田におもたき谷もみぢ
○神紋の菊や桜の谷紅葉
○谷もみぢおもたき瀬田のながれより
○仲人や夫婦狐の紅葉狩
○いりぐちの国つ伏見の紅葉かな
○石山に月もあるべし谷もみぢ
○石山の筆を引きたる紅葉かな


紅葉

○もみづるを語らぬ道のわかれかな
○もみづるや泪も落ちぬ数しれず
◯沈みをる紅葉の如く君を待つ
◯谷水に迷いもあらぬ紅葉かな
◯山紅葉かたらぬことを一隅に

紅葉

○もみいづる燃えしづかなる出羽の寺
○もみいづる定めを知らぬゆふべかな
○もみいづるあした散ゆくわが身かな
○閑さや聞くことなかれもみいづる

紅葉

○鳳凰の巣籠もりとなるもみづかな

紅葉

○夕紅葉並木を映し模様替え
○家具そろへ手紙したため夕紅葉
○夕紅葉寝具沈みてやはらかき
○夕紅葉人もまばらの赤い道
○期待してそこないよせた夕紅葉
○戸に胸の紅葉やわれにあたへ給へ
○うばわれて紅葉の道のうつくしき
○寂しさにあし音親し夕紅葉
○夕紅葉並木を洗ふ大河哉

紅葉狩り

○紅葉狩鬼やきのふの夕べなれ


照葉

○思い立つ溝に二人の照葉かな
○すれ違うおぼえのありし照葉かな
○赤き道夢のみちへと照葉かな
○赤き道を気配の消えて照葉かな

楓

○山寺や楓安らか燃えてをる
○かえるでや閉じて思へる並木道
○かえるでやもしものぞけり胸の穴
○錦草波の時空に鳥の立つ
○かえるでや波の時空に鳥の立つ

楓

○大空に楓に深き怖れかな

冬紅葉

○けさに見つ日も暮るるなり冬紅葉


黄落

○黄落に好きといふ字を書いてをり
○黄落や影足元を伸ばしけり
○黄落に好きの影踏むふたり哉
○黄落やまたもとの日を踏みにけり
○黄落や田畑耕す君の声
○黄落や美術好きなる君と別れ
○黄落や象好きなるももふ会へえぬ
○黄落や帰り好きなるモンブラン

楓

○門限をあいと潜りし楓かな
○しづかなる門をくぐりし楓かな
◯たづね行く楓の径に火のめぐる
◯両腕におさまり切らぬ楓かな
◯遠からず近くに老ひる楓かな
◯学舎や私に語る楓あり
◯高かりし楓や帯の一隅に

黄葉

◯女子大の黄葉ゆらし五芒星

柿紅葉

○天矛の形のごとき柿紅葉
○本能の遠見の君や柿紅葉
○死を選ぶ奈良の都や柿紅葉




落葉

◯手の中の落葉に誰を想うかな
◯ギャラリーに落ち込むような落葉かな
◯ヴィンテージショップの如き落葉かな
◯ヴィンテージショップの如く落葉掃き
◯アメリカの時代を残す落葉かな
◯照明に照されてをる枯葉かな
◯照明に灯されてをる枯葉かな
◯国立の図書館前の落葉掃
◯散紅葉顔付き合わせ夢の中

枯葉

○枯葉ふむタイヤの音やワイナリー

落葉

○一編の落葉やいまは自由なり


枯葉

○白石に落ちそでおちぬ枯葉かな
○白石に秒針遊ぶ枯葉かな

紅葉且つ散る

◯紅葉且つ散るや誰もが夢の中