黒い猫は黒猫

せっかく子どもも持って、
あれだけ苦しめられた恋愛市場から
引退できたと思っているのに、
もしそうだったらどうしよう。


最近、仕事を一緒にしはじめたチームでは
公私ともに良くしてもらっている。
子供の年齢も近いので日曜は
よくみんなで遊びに行く。

そのよく子連れで遊ぶ仕事仲間の一人に、
独身のNくんがいる。
彼は天才的に子どもに好かれるので、
うちの子が毎週末彼に会いたいと言う。

子どもが全員が懐いてるし、
Nくんも子どもが好きなのでよくみんなで遊ぶ。



連休に、みんなで遊びに行った。
車のない私とちび、そしてNくんが
駅前で集合して、
Aちゃんに車でピックアップしてもらった。

そしたらその車に乗ってたAちゃんの娘さんが
「ちびくんのパパかと思ったらNくんだった〜」
と言い、
「残念、Nくんでした〜」
というやりとりがあった。

それから数日後、
Aちゃんと仕事の電話の延長で
プライベートの話になった。

彼女が
「うちの子が言ってたからなんとなく思ったんだけど、
サイカさんとNくんて歳も近いしアリだな〜って
勝手に考えちゃった」
とか言う。

私はよくパートナーがいないと思われる。
わざわざ彼のことを知らない人に
彼の話をしないで良いと思っているから、
シングルだと思われる。
（そして私も面倒だから最近はシングルですと省略しがち）

でもAちゃんは
私に籍も入れてなければ一緒に住んでもない
パートナーがいることも知ってる。

そしてこの前彼の手術が
無事終わったことも知っているし、
私よりそわそわしていたので
死んだとも思ってないはずなんだけど。

かなり不思議に思ったけど、
へーそっかーって言って終わらせた。


先日、車のメンバーに加え、
Mさんという男性メンバーも含め
子ども連れてピクニックに行った。

そのときにMさんが
「そうか！
これ男女2人ずつだから2家庭だと思われてるのか！」
と言い出した。

たしかに。
Aちゃん、私という女性2人。
Mさん、Nくんという男性2人。

このブログを昔から読んでる人がもしいれば
多分ご存知かと思うが、
男女が自動的に組み合わせられるあの感じが
昔から非常に苦手。

うっ、となりつつも、
世間様はまあそうだよなと思い直し
「たしかにそうかもしれませんね」
と言った。

そこで終わればいいのに無邪気代表Mさんは止まらない。
「年的には俺とAさん、サイカさんとNくんだよね」
と言い出し、引き続きうっとなりつつ思ったのは

Aちゃんといい、娘さんといい、
最近やたらNくんと組み合わせられがちだな…

と思った。
Mさんはそのあとも
「子どもの組み合わせがむずい」
「まさかNくんが独身だとは思うまい」
など楽しそうだった。



で、今日。
そのNくんからスポーツの誘いが来た。
最近テニスを始めたから、一緒にやろうと。

申し訳ないくらい、めちゃくちゃ警戒してしまった。

Nくんは子供のこともよく見てくれるし、
信頼している良い仕事仲間だと思っている。

彼がぐいぐいくるのもいつものことで、
私にだけぐいぐい来るわけでもない。
あれはそういう人間だ。

いやとはいえ、なんでテニス？なんで私？なんで個別メッセ？
いつも共通の話題はメンバーの話か子供の話じゃん。

私の考えすぎならいいんだよ。
大の大人が学生のように他人を使って根回ししてくるのも不自然だし。

でもなんのつもりなんだ。怖い。
全く他意がなくて、変にタイミングが重なっただけならいいけど。


Nくんが怖いんじゃない。
パートナーが死んでしまったら、と考えると
またあの恋愛市場に引き戻されるのかと思うと怖い。

その肝心のパートナーは死ぬのを覚悟して、
別の男を探せとまで言っている。

ふざけんな、私をなんだと思ってんだ。
ナメんな。
あと男に限定すんな。

2日前に電話したら体が元気になってきた分
死ぬことに対してネガティヴになってたから、
もう少しちゃんと生きるつもりでいてほしい。

まだホスピス早いんじゃないのって
看護師さんに言われるくらいなんだったら、
まだ早いんじゃないの。


でも、もし本当に、
近い将来に彼が死んでしまったら、
私の免罪符がなくなってしまうんだと思ったら、
それはもしかしたら
私にとって彼が死んでしまうことそのものよりも怖い。