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脱・ちこくまの日常
〜ちこくまでも社会人はできるらしい(ギリギリ)〜
2024-5-3 09:29
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2021-11-28 23:22
翳りゆく
音楽に溺れたい
深く深く沈みたい
水の中で息をするように歌いたい
耳を塞いで
美しい音楽を聴くときだけ
私は自由に泳げる魚だった
自分の時間を誰かに分け与える毎日
表面を揺蕩って
陽に晒され
酸素過多に喘ぎながら
ただやり過ごしている
いつしか潜り方を忘れてしまうことを
頭の片隅で恐れているのに
見ないふりをしたまま
2021-1-22 22:33
ほっといて
遥か遠い遠い空の向こうで生まれた雪が
はらりはらりと舞って
コンクリートの上で影を残して
消えた。
そんなものなのだ
人の生き死になんて
2020-12-16 12:07
小さな冒険
ただ一人になりたくて
ただ自分を取り戻したくて
車のガソリンを満タンにするついでに
鶏肉と卵の挟まったパンと
はちみつの入ったコーヒーを買った
真っ直ぐな川沿いの土手を
太陽の方へ向かって走る
視界には空と前へ進む道だけ。
陽に照らされて
白く縁取られた青い雲が
空を埋め尽くしている
薄暗いのに
少し濡れたコンクリートが
隙間から漏れた光を反射して
お天気雨の日のように
キラキラと世界を照らしていた
時折舞う風花が
外の寒さと風の強さを語るけれど
音楽と暖かさとコーヒーの香りに満たされた
この車内では異国の映像のようで。
誰も受け入れず
風さえも拒んで
小さな小さな空間に
閉じこもった
救いがあるとするならば
このどうしようもない逃避行の終点が
どこでもない海だということ。
ただ、それだけ。
2019-8-10 12:21
夏に贈った手紙
優しい音楽を聞いた
冷たい水に顔をさらし
涙を隠して顔をあげた
海を撫でた風が
長くのびた髪をカーテンにして
大きくふわりと舞い上げる
一歩踏み出すには
熱くなりすぎたアスファルトに
通り雨がカーペットを敷いて
エスコートをしてくれる
その先は行き止まり
果てしなく続く青い行き止まり。
この世界を丸く作って
「終わりなんてないよ」と
屁理屈をこねた神様へ
私はあなたの元へ行きたいのに
歩いても歩いても
ただ地べたを這うばかりで
永遠にあなたに会いに行けなくなってしまったよ
青い空と青い海はよく似ているのに
境界線は交わることなく
ずっとそこに横たわっている
2019-3-25 03:21
春の便り
赤信号を眺めていたら
チラチラと舞う花ビラが目に入った
風が来た方向に目をやると
反対側の車線に早咲きの桜が
春の強い風にあおられて
小さな花弁を飛ばしていた
車の窓を開けて
その春のかけらが入って来ないかなと待つ。
そのうちに信号が青に変わり、
そこにだけ訪れたあたたかな季節とお別れをした
間もなく淡いピンク色が世界を染める
その時こそは私の元に招き入れられたらいいな
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