サイケ、津軽出てきます
ちょびっツみたいなノリ
続くかも
最近のパソコンは凄い。
人型で会話も出来て、容姿も自分好みにカスタマイズ出来る。
学習知能も自我もあり、それは酷く人間らしいけど確実にアンドロイトである。
そんなご時世に静雄はパソコンを一台も持っていなかった。
本人曰く、壊したら勿体ない。扱い方が分からないからだった。
そんなある日、弟の幽から人型のパソコンを勧めてきた。
『初心者向けに説明ツールが付いてるから兄貴でも簡単だよ』
「…でもよぉ」
『というか、もう送ったから』
「は?」
幽からの電話が切れた途端、玄関のチャイムが鳴る。静雄は仕方なくドアを開けた。
そこには見知らぬスーツの男。
静雄は警戒しながらもドアは閉めなかった。
「手前ぇがパソコンか?」
「いえ、私はパソコンメーカーの社員でございます。平和島様のオーダーを受けに参りました」
男は名刺を静雄に渡すと、何やら書類を出し始める。
「希望なされるパソコンの性別、性格、容姿の詳細、希望コンテンツ、その他の要望をこの書類に記載して下さい」
一枚の紙を渡される。
静雄は気まぐれにその空欄を埋めていった。
サルベージ
「初めまして、psychedelic-dです!よろしくお願いしますね、静雄さん!」
世界で一番殺したい奴と同じ顔が静雄に話掛ける。その瞬間、静雄は後悔した。
なんでノミ蟲と同じにしちまったんだろう と
本当に気まぐれだった。
アイツを従えたらどんなに気分が良いのだろう、と思ってしまった。そしたらこの有様だ。こんなの臨也でも何でもないのに。
「…静雄さん?」
目の前のパソコンが不思議そうにに静雄を見つめる。
静雄は舌打ちをして目を反らした
「んで…名前なんつっうんだっけ?…サイケ…?」
「psychedelic-dは商品IDだよ!名前は静雄さんが付けて!」
「…んじゃ、………サイケで」
「(記憶完了)―…よろしくね、静雄さん!」
その日から静雄の生活は一変した。
「静雄さ―ん!起きてよぉ、ご飯冷めちゃう!」
ゆさゆさとサイケは静雄を揺すり起こす。
静雄は眉間に皴を寄せてサイケを睨む。がサイケの顔を見て固まり、状況を把握して溜息を吐く。
「今朝のメニューはトーストにマッシュポテトにハムとベーコンのソテー!カロリーは680cal、おやつにプリン!」
静雄に跨がりながら嬉々と喋るサイケをどかし、静雄はふらふらとキッチンに向かう。
そこにはサイケの言った通りの朝食が並べられてた。
「お前が作ったのか?」
「そうだよ!俺の機能!料理に洗濯、掃除、なんでも出来るよ!」「へぇそりゃすげぇな」
と静雄は摘んだハムを口に運ぶ。サイケがそれを叱ると静雄は苦笑して席に着いて食事をし始めた。
「お前、あと何の機能があんの?」
「携帯電話の代わりも、ディスプレイがあればネットやメールも出来るよ!あとねぇ防犯予測装置!」
サイケはとても楽しそうに静雄に説明する。
「俺のこのヘッドホンはね、人の心音が聴こえるの!それでその人の感情を読んで危害があるかないか分かるの!もし危害があったら俺が倒してあげるからね!」
静雄はサイケの頭にあるヘッドホンを見遣る。
ピンクと白という可愛らしいデザイン、コードは重力に逆らいフワフワと浮いている。
「性格を『素直』って書いただけでこんなになんだな」
ボソッと静雄は呟いた。
サイケとは瓜二つの静雄の天敵。真逆の性格。静雄は今の状況に苦笑した。
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サイケの主人はシズちゃん
津軽の主人が臨也です。
のんびり書いてきます