今更顔を出して、どういうつもりだ。
そう思っているんだろう。


昨日、葬式だった。

死んだおじさんは、父の伯母の旦那らしい。
つまり、「子どもを連れてくるな」と言って母を怒らせた父の生みの母の姉だか妹だかの、夫。

その人の家はつまり、父の母方の従兄の家なわけで。
そんなん知らん奴らばかりだって。

しかもその故人と私は2歳のときに会ったきりで。
どうせいちゅーの。


挨拶のときに
「学校は卒業したの?」
「今年の3月に」
って会話をしたっきり、おばさんとは話してない。

父はそれなりにやっていたけど、私と母は何もわからないとこに放り出されて。
やれ昼飯を食え、やれ食事をしろと。
全く不愉快だった。



誰あいつ。
今更顔を出して。
大学まで出してもらって。
就職もしないで。
一人っ子なんて甘やかされたんだろう。

言われはしなかったけど。
そういった類の悪意を感じ続けて疲れた。


「最後に顔を見てちょうだい」
「あぁ、娘さん…」
「それほどでもないだろう」
「サイカちゃんですって」
「美人ですよねぇ」
「あ、サイカちゃんは、わからないわよね。会ったのは小さい頃だものね」
「若いのに物知りで偉いわね」

うっせえ。
どいつもこいつも。

身内しかいないのだから、そりゃあ排他的にもなるよな。

親戚一族に交ざれば、私は父の娘でしかない。
それ以外の地位は確立されえない。

気持ち悪い。



やたらと飯を食わされて、今日は胃の調子が悪い。
具合が悪くて出かけられなかった。
くそ。