鼎は司令室でしばらく商店街での戦闘をモニタリングしていたが、あることが気になりサブモニターで怪人のある部分を拡大してみた。それは胸の部分だった。

……?これは心臓部なのか?時々装甲から丸い核のようなものが見える。



一方、某商店街。御堂はその機械生命体と格闘に持ち込んでいた。肉弾戦で装甲の硬い敵と戦うなんて、どうかしてる。

梓はただただ見るしかなかった。
御堂…なんなんだ、この人…。どうかしてる。


晴斗はふとブレードのことを思い出した。今使わずにしていつ使うんだよ。
彼はしばらく使ってなかった対怪人用ブレード・恒暁(こうぎょう)を使うことに。


御堂は格闘しながらあることに気づく。この機械生命体は声は出すが話せないらしい。
胸のあたりに時々装甲から丸い物体が見えた。

…なんだこれ?


彼はその丸い物体目掛けてパンチをするも、効いてない。装甲が邪魔なんだ。厄介だなおい…。


御堂は隙を突かれ、勢いよく突き飛ばされてしまう。

あの御堂が怪人にあっさりと突き飛ばされてしまうなんて…相手はどんだけ強いんだ。


晴斗と梓はマキナにブレードと薙刀で食らいつく。



司令室に朝倉から通信が入った。

「今すぐ伝えて。機械生命体の弱点は『胸のあたりにある丸い物体、核(コア)』よ!
厄介な装甲に阻まれてるけど、暁のブレードと司令補佐のブレードを使えば確実に行ける!他の武器でも攻撃力が高ければ装甲は斬れるはずよ!」
「私もそれは感じていた」

「司令補佐も同じことを思っていたんですか」
「気になってたから画像を拡大させて見ていたよ」



この知らせは3人に伝えられる。

「晴斗!お前のブレードを使えっ!胸のコアをぶっ壊せ!!」
「コア?」
「たった今、通信が入っただろ!弱点は胸の丸いやつだ。装甲を破れる武器はかなり限られるみてーなんだよ。今いるメンバーなら晴斗のブレードが有効だ」

「あたしの薙刀も攻撃力高いけど」
「なんなら2人でそいつをぶっ倒せ。俺はちょっと…休むわ…」


御堂は疲弊していた。


梓は薙刀でいきなりマキナの足元を掬う攻撃を仕掛け→敵が怯んだ隙に晴斗が急接近・ブレードで何度か斬りかかり装甲をぶった切る。

晴斗は無我夢中で胸のコアを狙う。梓はアシスト。


「あと少し!」
「今やってるよっ!!」


晴斗は半ばイライラしながらもなんとか胸の装甲を取り払い、コアを剥き出しにした。
彼は一気にとどめを刺す。


コアにブレードを突き刺したのだ。ブレードを一気に引き抜き、2人は後にした。直後、マキナは爆散した。

なんとか謎の機械生命体を倒した3人。御堂はへとへと。
「なんとか倒したな、晴斗と琴浦」
「本部へ帰ろうよ」


3人は本部に帰還することに。



畝黒コーポレーション・地下研究所――


「あいつらなんとかマキナを倒したようね。ゼルフェノアにはあいつら以外にも隊員がいるから面倒ね〜。
マキナは一筋縄では倒せないようにしてるから、見ていて楽しかったわ」

イーディスはだるそう。Dr.グレアは次のマキナをカプセルから出そうとしていた。


「グレア〜、次のマキナちゃんはアップデートしたやつだよね?」
「そうですが。私の本領発揮はここからですよ。ゼルフェノア潰し…本当にやるんですか。イーディスは鼎を潰すんですよね」

「だから畝黒家と手を組んだじゃな〜い。まさか敵が大企業だなんてあちらからしたら予想外でしょう?
…ま、私達はそれを隠れ蓑にして動いてるんだし〜?畝黒家もゼルフェノア潰しに加担するって聞いたわよ」


あの畝黒家がゼルフェノア潰しに加担!?
当主直々に加担するわけではなさそうだが…。畝黒家はどいつもこいつも癖が強い。そいつらを利用するのか?當麻様は。


「グレア。紀柳院鼎に関して、私が直々に潰しにかかるから邪魔しないでよね。これは畝黒家にも伝えているのよ。
復讐代行時代の鼎…なかなか凄かったのに。なんであいつは辞めたんだか」


そんなイーディスは現在も復讐代行業を続行している。人を不幸にするのが、見るのが好きなのがイーディスだ。


「復讐代行時代の鼎、あの仮面姿だからターゲットには効果的だったのよね。今や怪人倒す組織の司令補佐って…ふざけてんのか」
「ゼルフェノアで何か心境の変化があったんじゃないんですかね」


「グレア、ゼルフェノアのトップって本部じゃないわよね」
「『ゼノク』にいるという情報ですよ。ゼルフェノアトップの名前は蔦沼栄治。
通称『義手の長官』です」

「義手の長官か〜。面白そう♪
どうする?次の襲撃計画。いきなり本部を攻めるか畝黒家の力を借りてやるか」

「義手の長官は強いと聞きますよ。ここは畝黒家の力を借りつつ、司令補佐を潰しにかかればいいのではと…」


「…そうね。参考にしておくわ」



畝黒家。當麻はある人物を送り込んでいた。
イーディスと當麻はリモート中。


「イーディス、君の計画を聞いたよ。うちから可愛い娘と付き人を送っておいたから、ゼルフェノア潰しに加担させてくれ」
「娘!?あのかわいらしいお嬢さんを…いいんですか!?」

當麻はニヤァと笑った。


「明莉(あかり)は見た目は小学生だが、彼女は人間じゃないんだ。ま、僕も人間じゃあないんだけどね。
畝黒家自体が非人間で構成されている。付き人の矩人(かねと)は人間だが」
「付き人ってか、執事よね?明莉専属の」

「明莉お嬢様がゼルフェノアを引っ掻き回しますから、その間に彼女を潰して下さいな。イーディス」
「當麻様、ありがとうございます」



ゼルフェノアは水面下で畝黒コーポレーション…もとい畝黒家とイーディス達2人が動いていることにまだ気づいていない。



「この怪人が人為的に作られたということは、敵は人間?」
晴斗はなんとなく呟く。

「人間とは限らない。確実に言えるのは私を拉致した犯人が絡んでいる。そいつらは人間だ。
…もしかしたら私を…ゼルフェノアを潰しにかかるかもしれない…」


「過去にもゼルフェノア潰しを仕掛けた連中いたけど、今回はなんか違うよね…。異様というか」
彩音は不安を漏らす。

「鼎、あたしがあんたを警護するから心配しなさんな」
「梓…」


「名前が変わっても姿が変わっても悠真は悠真なんだから。…ごめん、鼎。プライベートだけ悠真って呼んでいい…かな…?ダメ?
仕事中は鼎呼びするよ。まだ慣れないけど」
「仕方ないなぁ。プライベートだけだぞ」

「あたし、まだ仮面姿の鼎に慣れてないから違和感すごいあるんだ…。慣れるかな…。最初見た時、ちょっと怖かった。仮面のせいかな…」
「そのうち慣れるさ」


鼎と梓は少しだけ打ち解けた。元々幼なじみだった2人なので比較的慣れるのは早い。
梓はまだ白い仮面姿の鼎に慣れてないだけで。



水面下では明莉と矩人が動き始めていた。
明莉はかわいらしいお嬢さんで小学生くらい。だが、基本的に無表情でどこか怖い。非人間ゆえの怖さだと思われ。


矩人はその明莉の付き人だが、ひたすら明莉をヨイショする。

「明莉様、これからどうします?ゼルフェノア潰し」
「そうだな…まずは隊員を見てみるぞ」


見た目は小学4年生くらいの女の子だが、どこかお人形さんのようで余計に怖い。
話し方も子供とは思えない、機械的な感じ。感情がない。



この畝黒家のターゲットになりそうな隊員がいた。いちかだ。



第2話へ。