こんな話を書いていたんですよ

「……やはり君か、アルフォート君。……どうだい?その後の君の人生は。私の元から逃げ出したその先で光明はあったかい?」


「ああ……あんたのおかげだ、フリードリヒ。あんたのおかげで俺は……俺は自分が見ている世界の視野の狭さに気付く事ができた。……こんな人生だからこそ、手に入れたものがある!!だからこそ言える!フリードリヒッ!!あんたは間違っている!!!人を利用し大義の為ならば罪もない民を犠牲にするあんたは間違っている!!」


「この国を見て来た、か。ならば君にもわかるだろう?この国が今酷く膿んだ傷口を抱えているということを。確かにこれまでにブルボンという王が出現し、神がこの国の贖罪を命じになったかと思える一条の光が射した事があった。だが、残念ながら、その王も運命の手から見放されてしまった。……息絶え絶えのこの国の民は今、自らの傷を癒してくれる者を待ち望んでいる。幾たびの略奪、重税や貴族どもからの搾取に決着を着けてくれる者を、永年にわたって化膿した傷口を手当てしてくれる者の出現を。自らがその膿であるとも気付かずに、な。自ら重い十字架を背負う事はせず、リスクを何一つ背負おうともせず安全な場所から不平や権利ばかり口にし主張する膿腫―……それがこの国の民だっ!!!」


「……フリードリヒ、あんたは憐れな人だ。自分だけはこの国を癒せる特別な人間であると思い込もうとしている。あんたのことだ、こう考えてるんだろ?”ならば与えてやろうではないか。支配されるという特権を。全ては自分が管理し、導いてやろう”って。……あんたは気付いていない。いや、気付かないふりをしている。そんなあんた自身も愚かな民の一人にすぎないって事に。あんたも俺も賢者にも勇者にもなれやしない。いや、この世界に賢者や勇者なんて一人として存在しないんだ。皆等しくただ一人の人間である以上、それ以下にもそれ以上の存在にもなれるはずがないっ!!」


俺はけして賢者にも勇猛果敢な勇者にもなれない。今俺がこうしてここに立てているのは皆が俺の背中を支えてくれているからだ。ミルファスさんやアルカイド、オスカー、フルオライトさん、ピエール、刻にセデル、ブランチュール教皇にそして……ルマ。

全てを捨てて逃げ出した先で出会った民が、今フリードリヒが膿となじったこの国のみんなが俺を今日この場所へ立たせてくれたんだ。

だからこそ許せない。許してはならないと俺の心が命じる。この国の民衆を膿となじり力で支配し、利用するだけ利用し切り捨てようとしたこの男を許すわけにはいかない。


「皆等しく民である、か。……アルフォート、君のその愚直なまでの清廉さを確かに膿どもは好ましく思うだろう。君の手は私や教皇のようにまだ汚れていないからな。だが、いつか君の手も汚れる時が来るだろう。その時膿どもは喜んで手のひらを返したように君を責める。これは予言でもなんでもない。今までの歴史が証明している。その時が来た時、君はどうするつもりだ?」




……うむ!私得だな!!!!今現在私が書いている話はこんな感じです。最終章まで来たので今月中で完結させる予定です。はい!がーんばーるぞー!