今年も気付いたら過ぎてたよ、ごめんねキャプテン!
というわけで、花誕当日は呑気に水阿ネタを考えてました。だいたい書き上がったので後でアプ予定。(と書くことで自分約束←)
そんで今日は一日遅れの花誕です。
おめでとう、花井!
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(※前半は花阿←水。後半7組です。)
「あ、そういや花井って誕生日いつだっけ?」
隣を歩いていたタレ目の男がそう言ってこちらを向いた。
「……お前、わざとか?」
「何が?」
去年も同じタイミングで同じことを聞かれたような気がするが、それは気のせいか。いや気のせいじゃないよな。
でも去年と違って、阿部はニイッと悪戯っぽく笑っている。それを可愛いとか思ってときめいちまう俺も相当な末期だが。
とりあえずこれは明らかにわかっててやってるに違いない。こう見えて結構、阿部も子供っぽいところがあるよな。ここは一つ大人な対応をしてやろう。
「昨日だけど、それがどうした?」
「いや、別に」
「そういや今日の練習メニューもう聞いたか?」
「いや、まだ」
「じゃあモモカンに確認してから始めっか」
「おー」
「……」
「……」
いつもなら阿部は野球の話になると饒舌になるはずだが、今日は何故かつまらなそうに口を噤んだ。
そういやいくら悪戯とわかってても、スルーするなんて大人げないことしたな。ちょっと反省して、話題を戻してみる。
「…で、誕生日もう過ぎてっけど何かくれんの?」
「あ?…別に何も無えよ」
「そーか」
「んだよ、期待してたのか?」
再びニイッと笑った彼の頭をぐしゃぐしゃ撫でてやろうと手を伸ばしたが、後ろからの痛い視線に気付いてやめた。宙ぶらりんになった手で己の頭を掻く。
「つか、さっきから水谷は何で後ろから睨んでだよ」
「阿部は隙だらけだから心配なんですー」
「どこが?」
「水谷に言われたくねえし」
「だからー、花井が阿部に手を出さないように監視してるんですー」
「うぜえ。つか花井、ちょっと耳貸せ」
「はい?」
水谷の目の前でわざと花井の耳に何事か囁く阿部。
花井は顔を真っ赤にしてうろたえた。
「な、なに言って…」
「茹でダコみてえだな、ハゲ」
「ちょ、なに言われたの?ズルいー!」
水谷が後ろで騒いでいるが、もう気にしないことにする。
『プレゼントは…俺…だから…焦らしてごめんな?』
何だこれは、本当に阿部か?俺は思わず呟いた。
「ちょ、マジハゲる」
「もうハゲてっし、起きろ花井」
「へ?」
…
……
目を覚ますとそこはいつもの昼休みの7組だった。目の前の阿部が夢と違って仏頂面をしていたから安心した。
「お疲れ、キャプテン」
「ん、いや、疲れては無えけど」
「そんならいーけど」
「お前こそちゃんと寝てんのか?」
「うっせーハゲ」
昨夜もきっとデータ解析してたのだろう捕手の心配をしてやったら悪態を返された。そうだ、これがほんとの阿部だ。野球のデータは覚えても、チームメイトの誕生日なんかは微塵も覚えていないのが阿部だ。再び安心してホッと溜め息を吐いた。
「そういや水谷は?」
「おー忘れてた」
「ヒドい!阿部の合図を待ってたのに!」
「は?合図?」
「いや何でも無えよ。…水谷は後でぶっ飛ばす」
「えええ?!せっかく貰って来たのにー」
「あーもう!いーからサッサと渡せよ!」
「わかってますー。もう阿部はすぐ怒るんだから」
「怒って無え!」
「??」
首を傾げた花井の前に、いそいそと水谷が立った。封筒を持ってモジモジしてる様子はさながら女子がラブレターを渡す姿にそっくりだ。そんな事を思ってしまって動揺した花井の気も知らず、水谷は封筒をそっと両手で差し出した。
「キャプテン、受け取ってください」
「うへえ?」
思わず変な声が出て慌てて口元を掌で抑える。救いを求めるように阿部を見たら、腹黒捕手は夢で見たのと同じ顔でニイッと笑っていた。
あああ、ときめいてる場合じゃねえのに。
「一日遅れだけど、受け取れよ」
「オレと阿部からのプレゼントだよ?」
…ああ、なんだ。プレゼントか。正直ホッとした。
「あー、なんか悪いな。んな気を遣わなくても」
「社交辞令はいーから早く開けろよ」
「えへへ、花井にはこれだよねって昨日から阿部と話してたんだー」
2人でそんな話いつの間にしてたんだよ、って思ったら何だか妬けたが、嬉しさの方が勝ったから黙っておく。
水谷が貼り付けたらしいデコシールの封緘をはがして開いた封筒の中には、
「…アイス全品31%オフ…てコレ、割引券?」
何でアイスなんだとか、プレゼントに割引券てどうなの、とか。そういう野暮なことは言わないでやろうと思った。重要なのはプレゼントの中身じゃない。それをくれた気持ちだ。
「ん?違うよー、そのチラシ持ってかなくても割引いてくれるよー」
「は?」
「ね、だからアイス食いに行こうぜ」
「花井の奢りでな」
「…ちょっと待て、お前ら」
「なーに?」
「んだよ?」
2人の真っ直ぐな視線に思わずたじろぎながら、花井は念のため確認した。
「…これは俺への誕生日プレゼントだよな?」
「うん、そーだよ?…あ!おめでとう花井!」
まだ言ってなかったー、えへへと笑っている水谷はまだ可愛げがあるが。
「チッ…バレたか」
「阿部、お前なあ…」
「んだよ。いつも定価で奢って貰って悪いから割引の日にしてやってんだろ?」
「そりゃ、お気遣いどうも」
「どーいたしまして」
「たまにはお前が出せよ」
「…いーけど、」
「へ?」
「キャプテンのメンツあっかなあと思って」
「……そーだな」
「嫌なら花井のは俺が奢」
「あーズルい!オレも阿部に奢られたいー!」
「クソレは却下」
「なんでっ?!じゃあ、しのーかは?」
「しのーかは女子だから花井が奢るだろ」
「何で俺?」
「そっかー」
「水谷も納得すんなよ」
「さすがハゲ」
「キャプテンかっこいいー」
「あーもう奢ってやっから黙れ!」
「やったあー。花井だいすき!」
嬉しさ余って抱き付いた水谷。
それを偶然通りかかって目撃した篠岡が、今日も3人で仲良いねと微笑んだ。
いたたまれなくて慌てて腕を引き剥がす花井。
ようやく水谷から解放されてホッとした瞬間、阿部と目が合って、あの夢と同じ顔でニイッと笑われた。
ああ、今日はもうじゅうぶんプレゼントを貰ってんよ!
トキメキで胸がいっぱいだ。
花井はその坊主頭を下げて、勘弁してくれ!と心で叫んだ。
「4番センパイ、顔真っ赤ー」
「…水谷うぜえ」
「あんま照れるとハゲんぞ」
「ハゲねえよ!」
「あはは、可愛いね」
「篠岡まで…」
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END
カオスですが何か←
7組みんなで花井を愛でてみたらこうなりました。(何故?)
花井、ハッピーバースデー!
でした☆
がんばれキャプテン!
お粗末様でしたm(_ _)m