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泉と阿部



チョコネタ書いてたらご挨拶が遅くなってすみません;(>_<)

泉攻めオンリー参加されたかた、お疲れさまでした!*

会場で琵琶湖の水を写メってきたので添付しま(笑)さすが男前★
イズアベに萌えたり泉と浜田に萌えたり米に癒やされたり。
楽しかったです♪
ありがとうございました☆

あと、泉→浜本、小さい字ですみません;(>_<) 手に取ってくださったかた、ありがとうございました*(´∇`ゞ



2日遅れですが、泉と阿部なメモです。
嫌い×嫌い=なんだかんだで好きなんじゃね?な感じです。たぶん。

(※浜泉と水阿が含まれていますが、最終的には泉阿?です。ご注意ください。)


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久しぶりに再会した居酒屋。
馴れた手つきで唐揚げにレモンを絞ったら、それが泉にとっては地雷だったようだ。

「阿部マジうぜえ!」
「あ?」
「勝手にレモンかけるとかマジあり得ねえし」
「はあ?普通かけるだろ」
「俺は素材の味を味わいたいんだよ」
「へえ。…じゃあこれは俺が全部食うからもう一個頼めば?」
「おー。上等じゃねえか」

言われなくても頼んでやるよ!と呼び出しボタンを連打した。
が、この時間はちょうど仕事上がりの人々で賑わっていて、なかなか店員が来てくれない。
苛ついた泉がボソリと毒を吐く。

「米のKYが移ったんじゃねえの」

その一言は、さっきまで公共の場だからと堪えていた阿部の地雷だった。

「はあ?もっぺん言ってみろ」
「おー。米バカ、米バカ」
「はあ?!泉こそ団長バカだろ」
「は?もう団長じゃねえし。店長だし」
「…店長?」

阿部が聞き返す前に、泉が再び呼び出しボタンを連打した。
店の奥から慌てて飛んで来る人影。

「泉、連打しなくても聞こえてるから…」
「遅えんだよ、バカ浜田」
「いや、今ほんとは俺、厨房で…」
「あ?知らねーし。客連れて来てやったぞ」
「客?…って阿部じゃん。久しぶりだな!…じゃねえや、いらっしゃいませー。ご注文は?」
「あー、とりあえず水割り」

泉がニヤリと笑った。

「ほら、水谷バカだろ」
「違っ!」

水なんか要らねえ!ソーダ割り!と怒鳴る阿部を宥めて座らせる。浜田店長の手腕は手慣れたものだった。

「ほんとに店長なんだな」
「まあ、雇われですが」
「バイトに毛が生えた給料だぜ」
「ちょ、泉が言うなよ。毛にしてはちょっと長いし」

まあ常に過労だけどね、ははは。と乾いた笑いを返す浜田の目の下には隈がある。

「あー、だからここで飲もうって言ったのか」

店長バカ?と言ってやったら、ムキになって反論された。

「違えし。浜田割引だし」
「あー、社内割りみたいのあんの?」
「いや、浜田の奢り」
「ふーん」

ちょっと店長を不憫に思ったが、そこは二人の問題だろうから口は挟まなかった。

「あはは、お陰で収入がバイトに毛が生えたみたいになんだけどね」
「アンタも大変だな」
「まーね。俺も好きでやってんだけどね」

はにかんだ店長はちょっと幸せそうだった。

「ところで水谷はどうしてる?」

ふと思い出したような店長の問いに、泉の視線も阿部に向いた。

「…何で俺に聞くんだよ」
「え、だって、ねえ?」

浜田が言葉を濁して同意を求めると、泉がズバリ聞いた。

「お前ら、大学んときから同棲してんだろ?」

阿部はギクリと固まったが、冷静なふりをして答えた。

「同居の間違いだ」
「フン、同じことだろ」
「ぜんぜん違えし」

そんなんじゃねえし!と言い張る阿部はまだ酒も飲んで無いのに酔っ払いみたいに赤い顔。
泉は面白がってそれを写メった。

「ちょ、?!」
「阿部を返して欲しければ今すぐ来い。…と、送信」

脅迫状メールを水谷宛てに送ったようだ。すぐに阿部の携帯が振動した。

『うわ〜ん、俺のあべをかえせよ〜!』
「……落ち着けバカ、俺の携帯だ」
『へ?』
「しかも、泉の悪戯だ」
『えええ?!…泉にいたずらされちゃったの?!』
「されてたまるか!」

隣で聞こえていた泉がまたニヤリと笑った。

「お望みならしてやってもいいぞ」
「断る」
『ちょ、泉!するなら俺も混ぜて、』

プッ、ツー、ツー

「…切って良かったのか?」
「おー。通話料の無駄だかんな」
「水谷からだろ」
「じゃあ時間の無駄だ」
「確かに」

ははは、と笑った。
さっきまで険悪だったとは思えない笑顔だ。今だけ見たら、さぞかし気の合う旧友に見えるだろう。

「浜田、酒おかわり」
「店長、肉おかわり」

はいはい、と腹ぺこの元高校球児に餌を運ぶ。
そういや、泉があんな険悪だったのも久しぶりだし、こんなご機嫌なの久しぶりだなあ、なんて。気付いたらちょっと虚しくなるから気のせいだと思うことにした。



泉は社会人になってから毎日のように晩飯をこの居酒屋で食べている。
浜田は仕事中だから、一人で黙々と食べていて、話したくなると呼び出しボタンを連打していた。
浜田もそれを知っていたから、どんなに忙しくても、なるべく呼び出しに応じていた。
それが、あれからというもの、週に一度は阿部を呼ぶようになった。
しかも、阿部の来る日は、普通の注文以外で呼び出されることがほとんど無かった。

浜田店長はちょっと焦った。
原因は嫉妬と不安だ。泉を疑ってる訳じゃないが、無意識に浮気とか、遊びでとか…なんて、泉に限ってあり得ないけどね!

「俺がなんだって?」
「あ、泉、おかえり」
「は?ここはいつからメイド喫茶になったんだよ」

違くて!俺が1日のほとんどいる店だから、帰って来たみたいな感覚で!

「あー、今日、阿部来るから」

…聞いてないし。

「泉、来月は有休とるから」
「は?」
「たまには二人でお出かけとかしようぜ」
「…うぜえな」
「俺の部屋でもいいよ」

泉はチラッと店長を見た。
黒い瞳が熱を帯びる。視線が絡まる。

「…おー。何日?」

ふいに視線が携帯に落ちた。スマートフォンを操る指に思わず見惚れる。

「16日、とか」
「は?水曜は無えだろ」
「へ?」
「阿部と先約してるから」
「ええ?!」

確かに、泉が先に約束した相手を蹴ってまで俺とデートする性格だとは思わないけど。

「もしもし…はあ?ザケンナ!」

泉のスマートフォンが、渋い着メロを奏でた。開口一番に悪態を吐く。その相手は俺じゃない。

「水曜はノー残業ってお前が!…あ?…おー…おー…じゃあ先飲んでっから、なる早で来い」

じゃーな、と言って電話を切った。
店長は恐る恐る確認した。

「…阿部?」
「おー。あの野郎、遅刻って」

マジであり得ねえし、とか文句を言いながら、その口隅は上がっていた。

「ねえ…泉って、そんな阿部と仲良かったっけ?」
「は?仲悪いよ、ムカつくし」

ああ、無自覚なんだな、と思った。



一時間後、阿部は走って来た。
首筋に湿った汗に、泉の視線が止まった。

「阿部ってエロいよな」
「はあ?」
「水谷に食わせてんの、もったいねえ」
「…俺は食いもんじゃねえよ」

店内は暖房が効いていて走って来た阿部には暑かった。

「なあ、俺にも食わせろよ」
「は?」
「独り占めはズルいだろ」

黒い目が真っ直ぐに獲物を見つめた。

「…んなに食いてぇならいーけど」
「マジで?」
「けど、お前の俺に飲ませろよ」
「断る」
「てめっ」

注文の品を運んで来た浜田店長は、そんな会話に固まった。

「あ。遅えぞ、浜田」
「えっと…食うとか飲むとかって、何…の話?」
「あ?」

阿部は立ち聞きされて、頬を少し恥じらいの色に染めた。
泉はニヤリと笑った。

「肉と酒の話」


それからまた、いつもの罵り合いと愚痴り合いが始まった。



浜田店長の安堵と不安の入り混じった水曜の夜は、こうして更けて行った。
トイレに向かう阿部を見かけて、念のため確認してみた。

「あのさ、阿部って泉と仲良かったっけ?」
「いや、どっちかっつーと西浦んときは、水谷のがよく喋ってたんじゃね?」
「あ、そうか。そうだよねー」
「おー」

何でもないありがとう!とよくわからないお礼を言って厨房に戻った。

阿部が水谷の名前を出してくれて何だかとても安心した。

「今日は二人にサービスしちゃおう♪」

業務用の冷蔵庫からよく冷えたプリンを出して、泉のにはサクランボを、阿部のには生クリームを載せた。
軽やかな心でメニューに無いスペシャルなデザートを運んだ浜田店長は、珍しくお褒めの言葉をいただいてデへへっと頬を緩めた。



数週間後の水曜の夜、酔っ払った弾みでチューをかます二人を、おかわりの肉と酒を運んで来た店長が目撃してしまう…なんてことは、まだ誰も知らない。


----------



(ちょ、なにこの終わり方?!泉どういうこと?!)
(うぜー。知らねー)
(そんな…泉には俺がいるのにっ)
(ついムラッと若気の至りでって、憧れじゃね?)
(えええ?!ちょ、可愛い笑顔で何言ってんのさ?!)
(あー…うぜーな、冗談だっつーの)
(…ホッ)

*

(うわ〜ん、阿部ぇ!)
(知らないってんだから、しないかもしんねえだろ)
(あ。そっかあ〜)
(おー)
(つか、俺の出番少なくない?)
(そーかあ?)
(そーですよ)
(ふーん、まあどうでもよくね?)
(ひ、ヒドい…!)


20110215


*

祝☆泉攻めオンリで勝手に妄想メモでした!

ありがとうございました!!

Aにもらったネタから妄想を膨らませすぎて、全然違う話になりました、あれ?おかしいな…orz

似た者同士イズアベ萌えだけど、やっぱ書くのは冒険すぎたかな。あはは←

失礼いたしました☆m(_ _)m

ハッピーバレンタイン☆



そういうの気にしない阿部。


7組の昼休み。

「そういや、さっき阿部が隣のクラスの女子に呼び出されてたけど」
「えええ〜?!なんで止めなかったのさ花井〜!」
「俺が何で止めなきゃいけないんだよ」
「だって阿部は俺の…」
「お。帰って来たぞ」

噂のタレ目が7組に帰って来た。水谷はそわそわし、花井は単刀直入に聞いた。

「どーだった?」
「あ?」
「話あるって呼び出されたんだろ?」
「あー…別に、食いもん貰っただけ」
「食いもんって…」

隣でそわそわしていた水谷が我慢できずに割り込んだ。

「もしかして、受け取ったの?」
「おー。うまかった」
「え、ちょ、食べたのかよ!」
「まあ、腹減ってたし」
「えええ?!」

花井は呆れ半分×安心半分の溜め息と共に笑った。

「阿部はそういうの気にしないよな」
「はあ?」
「えええ、ちょっとは気にしようよ〜」

花井が諦めろと笑って、水谷が悲嘆の声を上げた。
阿部は、そんな二人の会話を訝しげに睨んでいる。

「……なあ、さっきから疑問に思ってたんだけど」
「「ん?」」

二人が首を傾げると、思い切ったように疑問を告白した。

「俺、そんな腹減ってそうに見えっか?」
「「…は?」」

何か知らないけど朝からみんな食いもんくれんだけど、それがチョコばっかでさあ、まあ腹の足しになるし嫌いじゃないからいんだけど。

「何つーか…飽きた。もうしばらく甘いもん見たくねえな」

その瞬間、7組の仲良し野球部トリオを取り巻く空気に1:2で亀裂が走った。

「ちょ、聞きましたか、花井センパイ…」
「ああ…」
「なんか俺、渡した女子が可哀相になって来た」

さっきまでの嫉妬はどこへやら、同情し始めるクソレフト。
呆れ半分×諦め半分の溜め息を吐く花井キャプテン。


「あ、ちょうど良かった」

そんなタイミングで篠岡がやって来た。

「はい、これが最後の3つ。グラウンドで渡すと邪魔になっちゃいそうだから、お弁当ついでにみんなに渡してたんだ」

7組が後回しでゴメンね。
なんて、気の利くマネジの声を聞きながら。いたたまれない気持ちになった二人と、気にせず弁当を頬張る一人。
水谷が慌てて口を開いた。

「わーい!俺、甘い物だいすき!篠岡ありがとう〜!」
「どういたしまして」

水谷君にひとつ渡して。

「何か、気を遣ってもらって悪いな」

花井君にひとつ渡して。

「んーん。渡したいから渡してるだけだよ」

少し照れたように微笑んだ視線の先には、そういうのを全く気にしない阿部がいた。
花井と水谷は、何かを察してしまった。
よりによって、何で、阿部なのか。

「あー、俺のは三橋に食わせて」
「あはは…そう言うと思って、三橋君には特別大きめのをあげといたよ」

みんなには内緒だよ。と言って微笑んだ彼女の目は、少し赤い。

「おー。サンキュ」

気の利くマネジの計らいに、阿部が珍しく微笑みを返した。

「じゃあ、水谷が食えよ」

水谷は、数秒前の自分の軽口を呪った。

「うええ、ゴメンナサイ」
「はあ?何で謝んの」
「阿部になんか謝ってないよ、バカ〜!」
「はああ?!」

いつも微笑ましく見守ってくれる篠岡が、今日は笑わなかった。

「…阿部、今日食えなくても持って帰って明日食えよ」

見かねた花井が、主将命令みたいに言った。
阿部は少し驚いた顔をしたが、重々しく了承した。
泣きそうな篠岡を見て更に動揺した。

「……俺、何かひでえこと言った?」
「んーん、気にしなくていいよ」

最後のひとつは、阿部君に。

「なあ、」

手のひらの上の小箱。

「この中身って」
「チョコだよ」

じっと見つめていたらようやく察しがついた事実がひとつ。

「…もしかして今日って、」
「バレンタインデーだよ」
「あー…」

しばらく黙って考えていた。
食べてしまったものは元に戻らないし、言ってしまった言葉は返らない。

「…篠岡、いつもあんがとな」

真っ直ぐ目を見て言ったから、伝わってるといいな。なんて甘えか。
さっきまで同情していたはずの水谷が、蘇った嫉妬心で唇を噛んだ。

「どうした水谷?」
「だって阿部は俺の…」
「そういやさっきも何か言いかけてたなあ」

花井はひとまず安堵して油断した。

「阿部が水谷の何だって?」
「……す」
「酢?」

すきなひと、だよ


なんて。

そんな告白はこの空気が大事な余り言えなかったけどね。

だって、

篠岡がまた微笑んで見ててくれて、花井が久しぶりに穏やかな顔で油断しきってて、何より阿部が

眉間にシワを深めに刻んでたから、怖かったんです。

おしまい。


----------

(ステキなチームメイトでクラスメートですよ)
(ふーん)

20110214

何これ

迷走にもほどがある、orz


*

添付は職場で配った友チョコです♪
(この後ラッピングしました。)
27も07も品切れでした、残念。
02は自分用チョコ←
カカオ度高くて苦い。さすが阿部チョコでした*orz

おはよーございま!



できましたー。

昨日あいまいに書きましたが、無事に間に合ったので友人宅に新刊と一緒に売り子で参加です♪


2/13(日)【男前2】
「沁。」さまに委託:辛口-2

◎新刊1冊のみ
『ワレモノ注意!』
┣A6/コピー(本文2色)/14p/100円
┣泉→浜メモ本
┗夢を見なくなったのは、いつからだろう。

今回は表紙にも絵を描きませんでした。代わりにタイトルをシールっぽく貼り付けたかった(自己満)ですが考えてみたら浜田の顔に貼り付けても良かったかもしれない、次回また機会あったらやりたい←
あ、写メしそびれた。

本文は前回の浜→泉本とお揃いの青赤2色です。
また夢ネタです。
泉視点で泉→浜を目指しましたが、ちょっぴり浜田の愛が駄々漏れています。

そんなM星のしょっぱい本はともかく、久しぶりのオンリー参加なので楽しみです♪
はっ!もしかして私、今年初?!

イズアベとかイズハマとか楽しみです♪米も(´∇`ゞ


あ。浅草橋ついた。

いってきまー☆

明日の準備



ただいまです!

泉→浜の本文ようやく書き終わりました。もう誤字以外いじらないぞ!;(>_<)

さて、今から表紙と自家印刷。
寒さになんか負けない!

明日は泉と浜田の本のみ委託させてもらいます。
よろしくですm(_ _)m

いい天気だといいな。暖かいといいな。

楽しみ♪


2月某日ネタ。



今さらですが、阿部と水谷の日おめでとうございました。

2月7日は全国ミズアベ騎/乗/位の日(毎年恒例)じゃないんですか。そうですか。
汚れた大人でスミマセンorz

たまには水谷の上でがんばる阿部を応援し隊☆(←黙れ)


発言がシモネタ的に危うくなってきたので話題転換。

チョコの準備をする水谷の妄想なう。


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バレンタインデーが近いですが、皆さん、もうチョコレートの準備はバッチリですか?俺はまだ阿部にあげるチョコを迷い中です。

う〜ん…やっぱり、手作りじゃ重いかなあ。買うにしてもどんなのにするか迷う。そもそも阿部ってチョコ好きだっけ?…あれ?

グラウンドの真ん中で首を傾げていたら、ボールが降って来た。

「うわ、危なっ」

危機一発。うまく避けた。
さすがナイスレフト☆

「てめっ…クーソーレーフートーッ!」
「うへあ?!」

ああそうだった、今は練習中でした。
てへっと舌を出してゴメンな〜と謝ったら、垂れ目の捕手にマジで睨まれた。怖いなあ。

「…何だよ、阿部のせいなのに」
「あ?」
「何でもないです〜」

口を尖らせてそっぽを向いたら、またボールが飛んできた。
ナイキャッチ水谷☆だから今度はバッチリ捕りましたけどね!
もしかして誉めてくれるかなと思ったら、阿部はそれで安心したのか、もう俺から興味を失って視線を三橋に戻してしまった。
ちょっと寂しかった。


チョコレートの準備はできていますか?
俺は、まだ決めかねています。

あげるかどうかも迷い始めた。
でもチョコ嫌いという話も聞いたことがない。ケーキも普通に食べてたし、俺ほどじゃないけどそれなりに甘い物も食べるよね。
あげたいなあ。

帰りに寄ったコンビニに、手作りキットが置いてあった。箱に書いてある作り方を眺めていたら、俺にも簡単に作れるような気がした。


2月13日。
練習試合から帰ってすぐ、疲れた体と眠い脳みそに鞭打って、俺は作戦を実行した。
見かねた姉ちゃんに叱咤激励されて教わりながら作ったチョコレート。ちょっぴり歪な形をしていたけれど、ラッピング袋に入れてリボンで口を結んだらそれらしく見えたから、安心して眠ることにした。


2月14日。
朝練に寝坊してモモカンに頭を握られた。半べそでグラウンドに出たら垂れ目の捕手にまた睨まれた。誰のせいだよ、って。そりゃ阿部のせいとは言えないけどさ。

昼休み。
いそいそとカバンから引っ張り出したラッピング袋。朝かっ飛ばした自転車の籠の中で、衝撃に耐えかねてグシャリと歪んでいた。
でも中身は奇跡的に無事だった。
もともと歪だったから、少しくらい歪んでてもわからないっちゃわからないんだけどね。
まあ、見た目より愛で勝負ですから。

斜めになったリボンを真っ直ぐに直して、阿部の机にそっと置いた。
机の主は、その大きな垂れ目を瞬かせてラッピング袋を眺めた。

「…何?」
「俺の気持ち。受け取ってください」
「…あー。朝練に遅刻した詫びか」
「うん、ゴメンナサ…じゃなくて!」
「…あー。じゃあ、こないだの練習でフライ落とした詫びか」
「そうです、スミマセ…じゃなくて!」
「じゃあ何だよ」

他にもまだ何かやらかしてんのか?と阿部は訝しげに眉を寄せた。
俺は日頃の行いをちょっぴり反省した。
だが、今はそれどころではない。
意を決して重大な事実を述べてみる。

「あのね、阿部、」
「おー」
「今日は2月14日だよ」
「だから何だよ」
「だから、バレンタインデーだよ」
「…あー」

そういうことか、と阿部はすごく納得した。

「どうりで。朝からお母さんや篠岡や三橋や花井にチョコもらったから、変な日だなと思ってたんだ」
「あはは…って、え?え?」
「そういや浜田も野球部のみんな用にチョコ持って来たけど田島と泉に全部食われたって言ってたなあ」
「あ、そうなんだ、へぇー…」

俺は聞きたくない情報とどうでもいい情報を聞かされたショックで曖昧に相槌を打った。
何も知らない阿部は、机の上のラッピング袋をヒョイと掴んでニイッと笑った。

「サンキューな、義理チョコ」

阿部の笑顔が見れて嬉しいなあ。
なのに何でだろう。
視界がボンヤリして阿部の笑顔がちゃんと見えない。

「えへへ、ヒドいなあ。せめて友チョコって言ってよね」
「…水谷?」
「あ〜…コレは気にしないでね!花粉症で目から鼻水が出てるだけだからっ」

セーターの袖でゴシゴシ拭いて、誤魔化すようにへらりと笑った。

「…ふーん。花粉症って大変なんだな」
「そーでしょ。阿部も気をつけなね?」
「俺はなんねーよ」
「そう?油断は禁物だよー」

こうして俺のバレンタインデーは終わった。

と、思ってた。

*


夕方。
午後練の前に阿部が珍しく俺より遅れて部室に来た。
遅刻ではないからモモカンに握られたりはしないけど、三橋が心配してキョドるくらいには遅かった。

来るなり、俺の顔を見つけて。

「水谷!」
「へ?何??俺、何かした??」

乱暴に腕を掴まれて、何かと思ったら、手の上にコンビニの袋を押し付けられた。
握りしめて来たらしくシワシワなそれを、広げて中身を見てみたら、おにぎりの食べ終わったゴミと、飴が一袋入っていた。

「…ゴミ?」
「あ?違えよ、こっち」

ゴミじゃなくて飴の方を引っ張り出した阿部は、悪戯っ子みたいにニイッと笑って。

「義理チョコのお返し」


きっと阿部は野球馬鹿だから、ホワイトデーの存在を忘れてるんだろう。
気の早いお返しを受け取って、俺は笑った。

「だから義理じゃなくて友チョコだってば」
「はあ?どう違うんだよ」
「ぜんぜん違います〜」

飴はちっとも甘くなかった。ミント味で鼻がスウッとする、のど飴だった。
きっと花粉症を心配してくれたんだろう。

「どうせならチョコ味のにしてくれれば良かったのに」
「あ?クソレのくせに贅沢言うな」
「ウフフ、でも嬉しいなあ。ありがとう」
「おー。もう練習中にボーっとすんなよ、怪我すっから」
「…へ?」

阿部は無意識で俺に優しいことを言って、サッサとグラウンドに出て行ってしまった。
慌てて追いかけながら、練習着の背中に叫ぶ。

「そんなズルい阿部も、だいすきだよー!」
「はああ?!」

走りながら振り向いた彼。
フワリと拭いた風がほんのり暖かくて。
俺は、もうすぐ春が来るよ、と言って笑った。


----------
END

(……ズルいのはお前だ)
(ん?何か言った?)
(何でもねえっ!)

20110209


フライングでちょっと早いバレンタインデー。
阿部が饒舌なのは、たぶん照れ隠しです。

ちなみに篠岡と花井は野球部みんなに配っています。(花井は母に持たされた。笑)
三橋はバッテリーだから阿部君にだけ特別扱いです。←
水谷は遅刻したからもらいそびれました(田島が代わりに食べた)
というどうでもいい裏設定。

お粗末様でした☆m(_ _)m


さて、泉→浜の続きがんばるぞー。

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