想いが溢れそうだ。


溢れ出したら、胸が張り裂けそうだ。


張り裂けたら、きっとそこから流れ出る感情は、綺麗で透き通った赤い色。紅い色。朱い色。


小さな芽が出るだろう。

確かに根を張るだろう。

大きく茎を伸ばすだろう。

悠々と葉を拡げるだろう。

綺麗に花を咲かせるだろう。

色褪せて、散るだろう。

そして、種を残すだろう。

種はまた芽吹くだろう。


繰り返し繰り返し、感情は溢れて花を咲かせる。


胸の疼きが花を咲かせる。

背中の疼きが羽根を生やす。



猫のように丸まって眠るだろう。

種は数を増やし、花は一面に咲き誇る。


誇らしげに、咲く。


眠る身体を、植物が包み込む。


伸ばした羽根には、花びらが優しく降り注ぐ。


日だまりも。

月明かりも。

等しく降り注ぐ。


眠り続ける内に、全てを忘れてしまうだろう。

目を覚ました時、背中の羽根で飛ぶことは出来なくとも。


新しい生命に、純白の羽毛の祝福を。


去り逝く生命に、花の種子の約束を。



涙を流しながら、生を喜ぼう。


涙を枯らしながら、死を喜ぼう。





溢れた流れはいつか、川となれるのだろうか。



夢を見る内に、消えてなくなる想いなどなく。





あぁ、想いが溢れそうだ。